最後の謎かけ

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「対策を立てるとかけまして~!」 「かけまして~!」 「東京タワーとときます」 「そのこころは?」 「たてる」 「いやー、すごい、社長お見事!」 「いや、全然見事じゃねえし」  内線を切った後、俺はあまりのくだらなさについつい口を挟んでしまった。 「なに!?」 「オチが『たてる』なのに、なんで最初に対策を『立てる』って言っちゃうんですか?」 「うむむむ~、小僧~!」 「ね? だから、乗っ取り対策の話をしましょう」 「はい!」 「はい! 社長!」 「整いました~!」 「よ! 三度目の正直!」  もう四度目だと思ったが口に出すのも馬鹿馬鹿しかった。 「夏とかけまして~!」 「かけまして~!」  もはや、乗っ取り対策関係の謎かけでもなくなった。 「昔、田舎で薪の釜で焚いたご飯とときます」 「えー、そのこころは~!」 「ホカホカです」 「なるほど! うまい!」 「いや、うまくないですよ」 「なに!?」 「夏の暑さをホカホカって言わないでしょう? チリチリとか、サンサンとか、もっと夏の日差しを感じさせる言葉を使わないと。そんで、『昔の田舎のかまの~』って、また、余計なものをつけて長くなってますし」
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