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「・・・ありがとう。送ってくれて」
ファミレスを後にして、賀上くんは、今日も私の最寄り駅の改札口まで送ってくれた。
大変だから・・・と、申し訳なく思う気持ちもあるのだけれど、やっぱり、少しでも長く一緒にいられることは嬉しくて、私は、彼の好意に甘えてしまった。
「いえ。こちらこそ・・・、楽しかったです」
「うん」
改札横の、誰もいない空いたスペース。
ここは、賀上くんが私に告白をしてくれた場所。
あの時は、周りの目が気になって仕方がなかったけれど、今は、不思議とあまり気にならなくなっている。
「じゃあまた・・・、会社で、だね」
「はい。・・・すいません、明日も明後日も・・・、来週も、付き合ったばっかなのに土日はしばらく会えなくて」
「ううん。賀上くん、毎日連絡入れてくれるし、会社でも時々会えるから・・・。寂しくないから平気だよ。それよりも、練習がんばって」
「ANTENNA」も出演するという、「T's Rocket」のライブは再来週。
それまでの土日は練習でつぶれるようなので、デートができる暇はない。
無理をしてなら会えないこともないようだけど、平日は仕事をしなきゃだし、睡眠もちゃんととってほしいし・・・、貴重な土日は練習を頑張ってほしいと思う。
だから・・・、ライブが終わるまではデートは我慢。
その気持ちをもう一度・・・、平気だよって伝えるように、私がにこりと微笑むと、賀上くんは複雑そうな顔をした。
「・・・そっか。オレは結構、寂しいなって思うんですけど・・・」
彼がポツリと呟いた。
私は「え」と小さく口を開いて、彼を見上げる。
「あ、いや・・・、オレの都合だし、心春さんが気ぃ遣ってくれてるのはわかるんですけど・・・。寂しくないって言われると、正直ちょっと複雑というか」
そう言って、賀上くんは寂しそうな顔をした。
その表情に、私の胸はきゅんと鳴る。
「・・・あ、えっと・・・、寂しくないって、会わなくてもいいっていうわけではなくて。賀上くん、私が不安にならないように、色々気にしてくれるから。だから・・・大丈夫だよって言いたくて。無理せずに会えるなら、もちろん会えたらいいなと思うけど・・・」
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