225人が本棚に入れています
本棚に追加
電車に乗って、着いた駅から徒歩10分。
お目当てのショッピングモールへと辿り着き、私は、ひとまずフロアガイドを手に取った。
店内は、オープンして間もないということもあり、日曜日の今日は、とても多くの人でにぎわっている。
(予想はしてたけど、思った以上に混んでるな・・・)
ゆっくり試着ができるだろうか・・・と思いつつ、せっかくなので洋服屋さんを見て回る。
色々と目移りしながらも、かわいいワンピースを売っているお店があったので、店員さんに声をかけ、早速試着をさせてもらった。
すると、サイズもぴったりだったので、これにしようとレジへと進む。
(ボタンが多くて着るのがちょっと大変だったけど・・・、かわいいし、買っちゃおう)
綿素材、ヒラヒラとした半袖の、黒いロング丈のワンピース。
Vネックの前開き。襟元から裾までをボタンで留めるようになっている。
腰には太めのリボンベルトがついていて、スタイルも良く見えそうだった。
あまり仕事向きではないデザインなので、今度のライブと・・・デート用にしようと思う。
(・・・賀上くんが好きな感じの服かはわからないけど・・・、かわいいって思ってもらえたら嬉しいな)
そんな願いを抱きつつ、店員さんからワンピースの入ったショッピングバックを受け取って、店を出た。
次はどこに行こうかな・・・と考えていると、前方に、見覚えのある女の子2人の姿が目に入る。
勝ち気な目をした、金髪のきれいな女の子。
黒いマスクをした、全身黒ずくめの女の子。
あれは・・・、亜莉沙ちゃんと、亜莉沙ちゃんのバンドのベースの女の子だ。
横には、大学生くらいの男の子たちも2人いて、親しげに話をしている様子から、友達同士で遊びに来たのか・・・ダブルデートかもしれない。
ふっと、亜莉沙ちゃんと目が合って、私は軽く会釈する。
亜莉沙ちゃんは、そんな私を怪訝そうな顔で見つめた後に、すぐにハッとしたような表情になり、ツカツカとこちらに向かって歩いてきた。
そして、目の前でピタリと立ち止まり、私をキッときつく睨んだ。
最初のコメントを投稿しよう!