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「あなた、本当にサクヤと付き合いはじめたんですってね」
「!?」
相変わらず、亜莉沙ちゃんは迫力があるし唐突だ。
私は、突然のことに戸惑いながらも頷いた。
「サクヤさんの彼女!?」
「えっ!マジか」
一緒にいる男の子たちは、驚いたように亜莉沙ちゃんの後ろで話をしている。
きっと、彼らもバンドを組んでいて、賀上くんとも知り合いなのだろう。
私は、観察されているような気分になって、ちょっと心地が悪かった。
亜莉沙ちゃんは、そんな私の顔をじっと見つめる。
「・・・そうね・・・、少し雰囲気は変わったみたいだけれど・・・。頑張ってサクヤに合わせているの?」
「え・・・?」
「努力してるのは認めてあげるけど。所詮、葉月さんとは元が違うわ。あなたとサクヤは似合わない。あなた・・・、サクヤにフラれるのも時間の問題だと思う」
「!?」
あまりの言われようだった。
驚きとショックで言葉を失っていると、他の3人が後ろでわたわた慌てだす。
「ちょっ、亜莉沙!失礼すぎるだろ!!」
「そ、そうだぞ!は、早く、早く謝ろう!!」
「・・・・・・」
亜莉沙ちゃんは、不服そうな顔でフンッと大きくそっぽを向くと、踵を返してそのままスタスタ歩き出す。
男の子の1人が、「亜莉沙!!」と怒ったように言いながら、すぐに彼女の後を追う。
呆然とする私。
黒ずくめの女の子は、どうしよう、といった様子で戸惑っている。
もう一人、この場に残っている男の子は、困惑しながら、黒ずくめの女の子に寄り添うように立っていた。
「・・・・・・、あの」
黒ずくめの女の子が、意を決したようにおずおずと私に歩み寄り、小さな声で話しかけてきた。
ハスキーで、艶のある大人っぽい声だ。
真っ白な肌にキリッとアイラインを引いた目は、一見、意志が強そうに見えるのだけど、とても不安そうに揺れている。
「亜莉沙の言ったこと・・・、気に、しないでください・・・」
「え・・・」
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