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(そ、それは・・・)
正直ちょっと難しい・・・と思ったけれど、緊張しながら、精一杯に伝えてくれているのがわかるから、そんな言葉は言えなくて。
どう返事をすべきか迷っていると、女の子はもう一度、深呼吸をしてから話し出す。
「あ、亜莉沙は、葉月さんにとても憧れていて・・・。だから、きっと相手が誰でも・・・、ああいうふうに、言ってしまうんだと思うんです。だから、亜莉沙の問題で・・・。気にしないでいただければと・・・、思います」
緊張した様子でそこまで言うと、女の子は、ペコッと頭を下げて走り去る。
そばにいた男の子は、私と女の子を迷うように交互に見やり、私に大きく頭を下げると、女の子の後を急いで追った。
(・・・・・・・・・)
私は、とても混乱していた。
突然の、この状況で。
ショックとか、戸惑いとか、怒りたいような泣きたいような・・・、自分の気持ちがごちゃまぜで、どうしたらいいのかわからない。
ただ、とにかく、うまく思考ができなくて。
走り去る女の子たちの後ろ姿を見送りながら、私はしばらく、その場から動けなかった。
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