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ーーー私と賀上くんは似合わない。
葉月さんとは元が違う。
フラれるのも時間の問題・・・・・・。
亜莉沙ちゃんに言われた言葉の数々が、頭の中で何度も何度もリピートされる。
黒ずくめの女の子は、「気にしないでほしい」と私に言ってくれたけど、それはやっぱり難しく・・・。
賀上くんと付き合う前に気になっていた事柄を、再び突き付けられた感覚だった。
(最近は、気にならなくなっていたのにな・・・)
けれど、「似合わない」と告げられて、気にならないほど自信がついてたわけじゃない。
賀上くんは、私のことを「かわいい」と言ってくれるけど、やっぱり、傍から見たら不釣り合いなのかもしれない。
(・・・葉月さん、か・・・。本当に・・・どんな人なんだろう・・・)
亜莉沙ちゃんが憧れているくらいなのだから、やっぱり、全てが完璧な女性なのだと思う。
・・・賀上くんとは、いつ頃付き合っていたのかな。
どのくらい続いていたんだろうか。
賀上くんは、どれくらい葉月さんのことを好きだった?
もしかして今も、交流があったりするのかな・・・。
ーーーふっと、彼が作った曲のメロディが頭の中に流れだす。
歌詞はあまり覚えていないけど、ライブで初めて聞いた時、大切な人を想って作った曲だろうって私は思った。
(・・・まさか、葉月さんのために作った曲、だったとか・・・)
彼が作ったという、唯一の曲。
それを今でも、彼は大切そうに弾いているーーー・・・。
(・・・や、だ・・・・・・)
勝手な私の憶測だ。
そうと決まったわけじゃない。
だけどーーーーー・・・。
一度浮かんだ憶測は、そう簡単に頭の中から離れない。
「・・・・・・」
(・・・・・・、これからどうしよう・・・)
ふぅっと小さく息を吐き、私は、近くにあった椅子に腰かけた。
今日は洋服以外にも、色々なお店を見て回ろうと思っていたけれど、今の私に、そんな元気は残っていない。
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