事件解決

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神田と合流し、ある程度の情報の共有をしておく。 あらかた弥右衛門殿が言っていたことで、取り立てて新しいものはない。 強いて言えば、百合子さんの息子の名前が"蓮川 仁礼(ハスカワ ニレ)"ということくらいか。 「直道様、今回の事件は短期決戦で謎を解き明かした方が良いかと思います」 「謎は解けたよ。一人のエゴで起こった事件だ。明日の朝、浅草署に出向くとしよう」 きっと犯罪とはエゴで起こる。 大なり小なりあっても犯罪は犯した時点で犯罪なのだから。 「事件は解決したって聞いたが本当かい?」 「謎が解けただけだ。事件解決は君達警察の仕事ではないのかね?」 「そりゃそうなんだが…」 「今から謎解きの答えを話すが、あくまで僕の推測に過ぎない。この推測を新聞記者に話さないでくれ」 「ああ、ブン屋には絶対に洩らさねぇよ。探偵に解決されたなんて書かれたら警察の威信に関わるんでな」 警察も人の子の組織。 もちろん保身に走るだろう。 ──今回は誘拐事件になったのが間違いだ。 佳代乃さんは学友と出かけると嘘をついて、下男の蓮川とカフェーに行って、その後に映画を観に行った。 そもそも佳代乃さんは誘拐事件すら知らない…いや、岩橋家は誘拐事件など知らない。 つまり誘拐事件ということにしたのは百合子さん。 佳代乃さんを自分の隠れ蓑にした。 佳代乃さんと百合子さんは実の母娘で、背格好が似ている。
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