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百合子さんはいつも和装だが、洋装にして、髪もそれらしく整え帽子を被れば、佳代乃さんと間違えても無理はない。
今回、百合子さんが佳代乃さんに変装したのは、犯罪を有耶無耶にして、その後も悠々と暮らす為かもしれない。
誘拐犯が殺されたのは、百合子さんが相手を呼び出していたから。
誘拐犯になっていたのは蓮川。
百合子さんの子供は息子もいるので、蓮川は百合子さんの息子で、母親に殺された。
最後に埋められていた死骸は、岩橋家の前当主の弥右衛門殿。
彼も百合子さんに殺された。
弥右衛門殿は事のあらましを全て分かった上で死を受け入れたんだと思う。
佳代乃さんと蓮川は今回の被害者で、蓮川に至っては殺されている。
動機などは警察の仕事だから、僕の推理は終わりだ。──
僕の推理という推測を聞いていた郷原警部は、ふは~っと息を吐く。
「何と言うか…身勝手な感じがするな」
「犯罪はエゴが引き起こした結果の一つだよ。けど、人間はエゴがなければ、人間らしい魅力がなくなってしまうだろうね」
それだけ言うと、僕は湯呑みに注がれたがすっかり冷めてしまった番茶を呷った。
そして被疑者となった百合子さんが自殺したと警部が電話をかけてきた。
正確には自殺をしていたのを発見したということだろう。
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