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被疑者死亡で動機も分からず、岩橋家に警察が捜査などできるはずもなく、謎多き事件で片付けられるだろう。
一応の解決はされたが、結局は何人かは命を失った。
それを表すように舞う桜の花びらも桜自体も嫌いだ。
「何にせよ、一応の解決になりましたね。そうそう、宮様から事件解決までの話を聞かせてほしいと言われてました」
「げっ、宮様って…桜宮(サクラノミヤ)か!関わる必要はない!」
桜宮…皇族の一人ではあるが、末席にいる為、僕達に気軽に連絡してくる。
九曜家が皇室と縁があるから、更に絡んでくる。
そもそも僕が桜を嫌いになったのは、この宮様のせいだ。
満開の桜に見とれていたら、樹についた毛虫を小枝に乗せて投げ付けてきたからな…あれで桜が嫌いになった。
また桜宮という御称号も桜があるので嫌いだ。
桜は綺麗な花を咲かせるが、根元には何かの秘密があるのかもしれない。
それを悟らせないように、あのような花を咲かせるのかもしれない。
神田が紅茶を淹れてくれる。
紅茶の香りは少しだけ切なさと懐かしさを運んでくる。
「そろそろ九曜家に入ったらどうだい神田…いや義兄さん」
「神田家の跡取りになることを決めてますので、九曜家にお仕えはしても家族になることはありませんよ」
神田は僕の異母兄弟だけど、ずっと僕に仕えてくれる。
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