桜の花は狂い咲く

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翌朝、寝不足の頭をしゃっきりさせる為に朝食を食べる。 食欲はあまりないが、何か一口は食べておかないと神田がうるさい。 気分が乗らないまま、パンとミルクを一口ずつ口にする。 サラダも野菜を一つずつ口にして、朝食は終わる。 寝不足なのだから、食事よりも寝ていたいが、やっぱり神田がうるさい。 まだ頭が回らないが、取りあえずと思い、読みかけの本をぼんやりしながら読んでいると、神田が部屋に入ってきた。 ノックはどうした? 「直道様、浅草署の郷原(ゴウハラ)警部から署にきてほしいと電話がありました。行かれるのでしたら、車を回しますが」 「分かった行くよ。外の空気を吸うのも気分転換になるだろう」 「かしこまりました。車を回してきますので、玄関でお待ちください」 「お前が運転するのか?」 「浅草署に行くなら、運転手を待たせることになりますし、もし事件現場に行くとなれば、私が運転した方がよろしいかと」 「分かった分かった」 外に出るときらめく陽光が目に痛い。 しかしよく晴れた日だ。 風に乗って桜の花びらが舞い散る。 この儚さを美しいという風情が嫌いだ。 やっぱり桜は嫌いだ。 「待ってたぜ、名探偵さん」 「どうも。けれど僕は探偵は趣味の範囲ですよ。本業は別にありますから、名探偵呼ばわりされても困ります」 「そりゃすまねぇな。今回はちと面倒で、あんたの手を借りなきゃなんねぇ」
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