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郷原警部の言葉で分かった。
今回の事件はおそらく華族が関わるものだということ。
警察もむやみに踏み込めないから、僕が生け贄として矢面に立てと言っているのだな。
「事件の内容を話してもらえるか?包み隠さず話してくれよ」
「やりにくいなぁ。まず、今回は誘拐事件と殺人事件、そして死体遺棄事件が絡んでいる」
「何故、三つも事件が重なっているんだ?一つ一つ潰していけば良いだろう?要は誘拐された華族のご令嬢が殺されてしまい、それをどこかに遺棄した…こういうことだろう?」
「それが違うんだよ。誘拐事件は華族のご令嬢なんだが、殺人事件は誘拐犯が被害者で、ご令嬢は自分で帰ってきた。死体遺棄事件は別件と思ってたが、その遺棄現場の土地は誘拐事件の華族の持ち物なんだよ」
ややこしいな。
つまり独立した事件がないということだろうか?
死体遺棄事件は誘拐犯を遺棄したワケでもないと。
その華族の身内が事件に巻き込まれれば、華族は黙っていないのは当然だが、随分と乱暴に事件解決にしている気がする。
自分の土地に何体も死体は埋めないはずだ。
それに死体を埋めるなら、穴を深めにしないといけない。
人の死臭は動物の比ではないと聞く。
使用人がそんな仕事を金の為と思って平然とやるとは思えない。
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