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僕を桜の樹の前に降ろすと、神田は情報を整理する為に、別行動を取ることとなった。
「あなたはどなたですか?」
【儂が見えるのか?声が聞こえるのか?】
「ええ、しっかりと。僕は九曜 直道。九曜家の者です」
【九曜家…華族の。ここに何用か?】
「あなたのことを聞かせてください。どなたなのか、そして何故ここに埋められていたのか」
【儂は岩橋 弥右衛門(ヤエモン)。岩橋 羯麿(カツマロ)の父で、生前は当主であった】
岩橋家の前当主。
あまりお会いしたことがないから分からなかった。
弥右衛門殿の話を要点だけ纏めてみた。
・佳代乃さんの本当の母親は百合子さん
・羯麿殿の奥さんの小夜(サヨ)さんは、羯麿殿と百合子さんのことを知り自殺した
・百合子さんには息子がいて、佳代乃さんの下男であること
・弥右衛門殿を殺して埋めたのは、百合子さんと百合子さんの息子
たぶん、警察は佳代乃さんを疑っているに違いない。
ただ事件が全部佳代乃さんに絡んでいるのが不自然な気がする。
誰か…百合子さんが佳代乃さんを隠れ蓑にして動いているように思えてしまう。
僕が考察しているうちに、弥右衛門殿は消えてしまったようだが、これからきちんと供養してもらえれば、未練もなくなるだろう。
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