最後の呟き

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 あんな呟きの後でうっかり事故で命を落とす?  昇也が抱いていたであろう決意と淡白な結果の落差に平間は鼻を鳴らしたものだった。それにちょっとした違和感もあった。  お前が怒りを抱いた『お前』って、誰だったんだ?  昇也の最期の呟きを目にした日から時に脳の全体で、時に頭の片隅で、延々と考え続けていることだった。  記憶の琥珀に閉じ込めた高校時代の昇也と、卒業後は0と1の組み合わせでしか表されなかった大人の昇也。この隔絶された二つの間で、いったいアイツの身に何が起きたのか。親友を失った穴を埋めるだけの時間と、それから昇也の身辺を気にかけるだけの余裕が生まれたときには既に、平間はエンジンキーを掴んでいた。  向かう先は無論、昇也が死ぬ直前に足を運んだ件の山地である。昇也のSNSの動きから考察して導き出した場所だった。  ウィンドウから舞い込んでくる風が僅かに冷たくなる。盛る夏が終わり秋の彩りが目端に捉えられるようになって幾日。残暑の気配はいつの間にか氷のように溶けていた。
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