最後の呟き

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 四駆のタイヤがアスファルトの砂を噛み、革靴でクランチを踏み砕くような小気味良い音が立つ。  平間皓太(ひらまこうた)はぼうっとした顔でステアリングを握りながら、僅かに開けたウィンドウからそれを聞いていた。  フロントグラスの向こうに広がるのは緩やかなカーブを描くひび割れたアスファルトと、その両脇で我が物顔で繁茂する雑草と頭上に枝を伸ばす雑木林のみ。つい数分前までは古色蒼然(こしょくそうぜん)とした民家もちらほら窺えたのだが、今では平間を、人類の滅んだ崩壊世界でただ一人突っ走っている気分にさせていた。  実際、平間の生きてきた世界の一部は崩壊している。  不意に胸元を破滅衝動が過り、平間はアクセルを強く踏んだ。
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