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男の子が微笑む。ゆっくりとこちらに近づいてきて、累の手を取った。
突然のことに驚く。そんな累にお構い無しに彼は笑って、こう言った。
「君、すごく桜が似合いそう」
「えっ?」
何回も瞬きを繰り返す。ぼっと顔が真っ赤になった。
「こっちに来て」
呆然とする累の手を引いて先程まで彼が居た八重桜の木の下に連れて行かれる。
そこだけまるで空間が違うように見えた。
「綺麗……」
幻想的な風景に見とれてポツリと呟く。
「綺麗だよな〜、君もすごく桜と合ってて綺麗だよ」
彼がサラッと累に向かって言う。
言われたことに累は戸惑いながらも照れ隠しでそっぽを向いた。
「は……初めて会った人にそんなこと言いますか…?」
「えっ…?あっ…!」
驚き慌てふためいた彼が掴んでいた累の手を離す。
「ご…ごめん!勝手に…つい君が綺麗で…名前も知らない奴に急に手握られてびっくりしたよね」
「えっと……びっくりはしたけど……」
逸らした視線を彼に向ける。
「嬉しかったです…」
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