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この先もずっと続く幸せをこの時は夢見ていた。
手を繋いで、デートして、初めてのことだらけの経験を二人で積んでいく。
そうなるはずだった。
思い出を重ねた冬を越えて、迎えた春。
亮太が交通事故で亡くなった。
桜が舞う暖かい日のことだった。
最初、先生から話を聞いた時私の中では理解が追いつかなかった。
亮太が死んだ。この言葉だけが永遠と頭の中を回り続ける。教室内に聞こえる皆の泣き声、先生の声。
教室中が悲しみに包まれていた。
後ろを振り返る。私の後ろの席にいるはずの彼はいない。
「累」と明るい笑顔を向けながら名前を呼ぶ彼がいない。
ガタン。
耐えきれなくなって席を立つ。皆の涙に濡れた視線が一斉に私に向く。だけど、そんなことなんか気にならないくらい身体中を駆け巡る亮太が死んだという事実。重なる思い出。
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