gate

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僕はここまで来た。 というより来てしまったか。 思えば物心ついた時からいじめられてきた気がするな。 記憶にあるのは皆んなから袋叩きにあった事ばかりだ。 仲間はずれからスタートして悪口陰口なんてものから殴る蹴るまでそりゃあもうよくそんなん思いつくなってものまで…。 あいつら…テレビやらなんやらの企画なんてやったら才能発揮するじゃないかってくらいよくもまぁ次から次へと思いつくもんだよ。 幼稚園は仕方がない。 子供だからな。 異質なものを排除しようっていう本能があってそれに抗う理性もないだろう。 小学生になってもまだまだガキだ。 理性が育ってもそれを保つ事なんかできやしない。 ただ…中学生になれば少しはそういう事って分かってくるもんだと思ってたよ。 まぁなぁ…これも百歩譲ってね…。 不安定な時期だからって理由も付けられるだろ。 ただ…今、僕は高校三年…僕を虐げる連中も同い年… もう大人だよ…? もう何も言い訳は付けられない年齢だよ? まだ足りないのか? ここまでくると僕が異常だとしか思えない。 いや、異常なんだろう。 きっと僕がおかしいんだろう。 だからそれを排除しようとしてこういう事になってるんだろな。 一個一個考えてみよう。 仲間はずれにする。 何で? 殴る蹴る。 何で? 陰口悪口を言われる。 何で? 水をかけられる 何で? 物を隠される。 何で? 物を壊される。 何で? 何で? うぅん…全て説明できるな…。 僕が… 僕が異質だから。 僕が… 僕がおかしいから。 いやいや、待てよ。 お前らが仲間はずれにした僕にも僕を大切なものとして見てくれる人が居るんだ。 そんな理由で人をこうやって追い詰める事が許されるのか? あぁ…そうか。 親か…。 親に申し訳ないな。 って…自分が限界なのになんで親の事考えるんだろう。 不思議だよな。 なんかね…お母さんがさ、朝、笑顔で僕を送り出してくれるのが辛いんだよな。 お母さんはきっと僕がきちんと学校に行って、楽しく過ごしてる…そう思ってるからあんな風に僕を送り出してくれるんだよな。 辛いな…。 辛いよ…。 あいつら、分かってんだろうか。 お前らがそうやって痛めつけた人間にも、親が居て…爺ちゃん婆ちゃんが居て…。 僕を痛めつけるって事は…いやぁ…もういいか…。 それが分かる奴らじゃない。 おぉ? 何だか騒がしいな。 そうか…明日は文化祭か…。 文化祭ねぇ。 なぁんにもやらせてくれなかったな。 なぁんにも…。 最後の文化祭なんだけどな。 ん? この音はバンド…? ふぅん…。 バンド…。 楽しそうだな。 楽しそうだよな。 きっと舞台で演奏する奴らはヒーローだろうね。 キャアキャア言われて。 模擬店も楽しそうだなぁ。 僕もチョコバナナとか作りたかった。 ああいうのやってみたかったよ。 いつもさ!勉強してるところで食べ物作ってみんなに食べてもらうんだ! 凄いよね! やってみたかった…。 なんかおかしいよな。 何でいっつも我慢してる僕が、やりたい事何一つできないんだろう。 僕がお前らに何をした? 何もしていないはずの僕にお前らは何をした? 何もしてない僕にお前らは何をした? そう、何もしてない僕にお前らは色んなものをくれたな。 くれたな。 くれたな。 くれたな? くれたよな? くれたんだよな? お母さんとかね? 爺ちゃんがね? よく僕に言ってたんだ。 何かをくれたらきちんとお礼言うこと、何かをくれたらきちんとお返しをすることって。 そうすればお互い気持ち良く付き合っていける、相手が喜んでいるのを見て自分も喜べるようになるって。 そうか。 そうならこうやっていつまでも机で寝てる場合じゃないな。 限界だけど、もう辛くて辛くて仕方がないけど、明日は文化祭だもんな。 最後の文化祭だ。 皆んなにお礼を言って… んでね、僕もね、楽しまなきゃ。
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