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澤村の殺戮は続いた。 自クラス、美術部、テニス部、サッカー部の面々を血に溺れさせた。 そして澤村は体育館へ向かう。 後数mで体育館というところであるクラスメイトにかち合ってしまった。 いじめの主犯格、原田だ。 体が大きく、茶髪にピアスといういかにもという出で立ちだ。 原田はすぐに澤村の左手と、学生服の色では隠しきれない血の湿気に気が付いた。 「ク、…クソ村…?お前…何を…?」 「原田くん…。本当にありがとう…。」 「キャアアアアア!!」 「うわぁ!!せ、先生!先生ぇ!!」 澤村の言葉に覆いかぶさるようにあちこちから悲鳴が聞こえ始めた。 「クソ村…。お前…。」 「都合が良いよね。普段先生の事なんて馬鹿にしてさ、尊敬なんてまるでしてなくてさ、授業なんてロクに聞きもしないくせにこんな時だけ先生!先生!だって。どんだけ自分中心に世界が回ってると思ってんだろう。…ね?原田くん。」 原田は身構えた。 左自然体で澤村に立ち向かう気だ。 だが、原田はすぐに構えを解いた。 「見てみたかったんだ。原田くん。君みたいな人間がこういう時、どうすんのかなって。」 「ク…クソ村…ま、待て…待てよ…。」 『文化祭って楽しい。こんな楽しい事を三回もやってきてたのか。ずるいな。本当にずるい。僕もこの学校の生徒なのに…。でも見れたな。原田くんのこんな姿見れるなんてやっぱり文化祭って特別な日だ。最高!!さぁ!まだまだ楽しむよ!!なんたって今日は最初で最後の文化祭!!』 「原田くん、ありがとう。そしてさよなら。」 廊下に銃声が響き渡った。 澤村は足を撃たれて倒れ込んだ原田に近付いた。 「クソ村ぁ!!ぐぁあ!!痛ぇ!!オオオイ!!誰か!!先生なんかどうでもいい!!警察だぁ!!警察呼べぇ!!早く!」 「原田くん、本当にありがとう。」 「ヤメロ!!ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ!!プヒュぅ…ピュゥ…」 原田の首に牛刀が差し込まれて奇妙な呼吸音と共に原田は絶命した。 澤村は倒れた原田の左手をぐにゃりと踏みつけて体育館へと向かう。 体育館ではバンド演奏が始まり、その轟音の中で歓声も聞こえてくる。 「さぁ!!コレコレ!僕もね…ステージに立ってみたかったんだ!!」 澤村が体育館のドアを開くと、ステージで四人編成のバンドが激しいながらも、上手な演奏を披露している。 体育館の面積の三分の一は観客で埋め尽くされて大盛況のようだ。 体育館では誰一人として校舎での異変に気が付いていないのだろう。 「さぁあああああ!!楽しむぞぉ!!オオオオオオ!!」 澤村はその観客に突撃した。 倒れていく観客達、逃げ惑う観客達、そして悲鳴が体育館の中にこだまする。 そして遂に澤村はステージの真下へと辿り着いた。 演奏に集中しているバンドメンバーは轟音の中に居るせいかまったく異変に気が付いていない。 しかし、バンドのボーカリストがふとステージ下を見ると観客は誰も居ない。 いや、一人、異形の人間がそこに居た。 あ・り・が・と・う 澤村は轟音の中で、そう口の形を作った。 そして複数回の銃声と共に楽器の音は消えた。
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