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――目があった瞬間に、好きになってしまった。
高校の入学式、誰かの視線を感じて振り返ると、少し遠く離れた席に彼女がいた。
視線が外せなくなって、一〇秒ほど見つめあったら真っ赤になって俯いてしまう。
一目惚れだった、すぐに彼女の名前を調べた。
目が合った瞬間に気づいてた。
三田村夏帆も、オレのこと意識してるって。
だから親友の卓也や周りの協力してくれそうなヤツらを巻き込んで、夏帆やその友達も誘いグループで遊んだ。
皆で歩いた帰り道、一番最後尾で隠れるように手をつないだら、夏帆が真っ赤になったのを覚えてる。
でも、それ以上にオレの方が真っ赤だったと思う。
高一の夏帆の誕生日。
旅行先で買った桜貝のブレスレット渡したら、オレの台詞を夏帆が奪ったんだよな。
『誕生日、おめでと、夏帆。で、その……』
『私と付き合ってください、松岡くん!』
オレが勇気を出そうとした瞬間、先を越されて苦笑い。
何で先に言っちゃうかなって、夏帆のこと抱きしめた。
花火大会、クリスマス、夏帆との日々は楽しいことばかりだったのに、二年になりクラスが別れ、すれ違いから、つまらないケンカばかりした。
泣き出した夏帆に振られそうになって、それでもやっぱりお互いのことが好きで、大好きで。
『ムカつくけど、大好きだよ! 別れたいのに、別れられない。悔しいよ』
切羽詰まったように、泣き出した夏帆の気持ちは、オレの心そのものだった。
『だったらもう大好きじゃなくて、愛してるって言ってもいい? 別れる気なんか全くないんで』
幼いながらのオレからのプロポーズに、夏帆は嬉しそうに泣き笑いしてくれた。
だって真剣に愛してたんだ、夏帆のこと。
将来こうして夏帆の隣に立つのはオレだって確信してたあの頃。
夏帆もそうだったはず、だよな?
『夏帆が笑ってるの見ると、オレも楽しくて幸せなんだよね』
『私も、松岡くんが笑ってると嬉しいから同じだね』
同じだった、同じはずだった。
ずっと同じだと思っていたのに。
どこで、ズレた? どこで――
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