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懐かしい顔ぶれに目を細める。
いつぶりだっけ? あ、そうか、高校以来か。
なあ、知ってる?
わかってんだろ? オマエらも。
今日はオレにとって、最悪で最高の日だってこと。
笑顔の参列者の中で、オレだけが仏頂面だ。
三月下旬、元カノと親友の結婚式に参列した。
教会の片隅で、同級生たちと並んで座り、新郎である卓也の背中を見守る。
オレからの痛いほどの視線を感じたのか、振り返ってキョロキョロしてる。
相変わらず落ち着きのないヤツ。
もっとシャンとしとけよ、主役!
「アイツ、緊張してんじゃん」
隣に座った高杉のからかうような苦笑いに相槌を打つ。
そうなんだよな、卓也は昔から緊張に弱い。
悔しいなあ、なんでそこに立ってんのがオレじゃないんだろう。
ここにいるやつらの大半もそう思ってんじゃないの?
遠慮してか、オレと夏帆が付き合っていた過去に、皆が口を噤んでいるようだ。
そんな同情しなくてもいいじゃんな。
オマエ、振られてやんのって笑えばいいじゃん!
お察しの通り、今も未練タラタラですけど、何か?
厳かなパイプオルガンの入場曲が流れると、後ろのドアが大きく開いた。
真っ白なウェディングドレス姿の夏帆が親父さんにエスコートされて歩いてくる。
真っすぐに前だけ、卓也のことだけを見つめて。
ヤバイな、涙で曇るんですが?
夏帆、めちゃくちゃキレイだよ。
ベール越しでもわかる、美しい夏帆の横顔に、甦ってくる想い出たちが駆け巡る。
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