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僕にとっては運命の恋だった。君にとっては、僕は運命じゃなかった。ただそれだけのことだった。
「千春、こんなにあったかいのに家に籠るなんてもったいないよ」
そう言って君は僕の手を引いて、生ぬるくなり始めた風の下を歩く。君と出会って僕は、散歩というものを知った。世界がこんなにいろんなもので溢れてることを知った。
「ねぇ、千春。また猫背になってる!」
僕の背中を強制的に押し伸ばすように、背骨をぐーっと両手で目一杯押し込む。そんなさあやが愛しくて、背筋をピンっと伸ばした。
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