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今度はどこに旅行に行こうかと思いを馳せるのが妃奈にとって今一番楽しい時間でもある。
スケジュールを確認しながらパラリとページを捲ると赤く書かれた文字が目に入る。
『同窓会』
明後日の19時からの予定だ。その日妃奈は早番のため19時からなら参加できると連絡をしたのはもう随分前。
そのすぐ後だったのだ。
羽山高秋が参加することを知ったのは。
今更やっぱり行けないと言うのもなんだか悪くて、結局今に至っている。
会いたいとは思わない。できれば会いたくないというのが本音だ。
嫌なことは寝て忘れる妃奈ではあるが、あの事だけはずっと消えずに残っている。
何度思い出しても、どうしても許せない。あの言葉を吐いたあの男だけは。
その言葉は妃奈を未だ縛り付けているから…。
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