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プロローグ
薄暗い部屋。
自分に背を向けベッドに腰掛ける男。
何も身に着けてはいないその背中はごつごつした立派な筋肉で覆われている。
(あ、これ夢だ…)
本庄妃奈はこの後言われるであろう言葉を覚悟して目を瞑った。
「萎えた。無理。あー……クソ、最悪だ」
背を丸め頭を抱えながら吐き出される言葉。
低い妃奈の大好きなテノールボイスで紡がれた言葉は妃奈の心に傷をつけた。
痛かった。
裂けるような痛みが妃奈を襲っても、それでも繋がりたいと思ったから。
だから。
だから大丈夫だと、最後までしてほしいと。
そう言ったのに。
なんで。
なんでそんなこと言うの。
「大っ嫌い!!」
大好きなのに。
「顔も見たくない」
こっちを見て欲しい。
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