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しかし彼のターバンの下は、ほとんど当て布に隠されていた。
「一体それは、どうしたのよ……!?」
私は呆然と彼の顔を見つめる。
「ごめんよ、その……君にこの下を見せるわけにはいかないんだ。それが……僕の顔は怪我を負い、醜い傷跡がついてしまったから……」
私は思わずいつも付けている手袋を外し、その手で彼の顔に触れる。
「……今も、痛みはある?」
「いや、無い……。ありがとう、僕を心配してくれたんだね。アギーは優しい人だ」
彼は優しい声でそう返した。
……思わず昔、下の妹にしていた癖が出てしまった。
カイトにしたことはない。彼とはほとんど触れ合ったことがないのだから。
私は気付きすぐに彼の顔から手を離す。
「……その傷は、気の毒だったね。無理をさせて悪かった。だけどね、優しい女なら世の中にたくさんいるものだよ……」
その言葉は、すぐ威勢を張る私の悪い癖。
こんな時はなぜかこうして余計な言葉ばかり口に出してしまう。
ところが彼は真っ直ぐにこちらを見て言った。
「アギー。僕はね、他のどんな女性よりも君が魅力的だと思っているんだ。僕は君がいい。それに君ほど自由を愛する人が、自分を抑えて他人のために尽くそうと考えることなど簡単には出来ないだろう。君にはそれができる。その優しさは何にも代えがたいさ」
彼のその言葉に私の心の中の棘が外れ、ぐらりと動いた気がした。
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