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私は今まで、辛かったと誰かに打ち明けることも他で想いを消化することも出来ずに来た。
結婚した彼の本当の想いも尋ねることがないまま、自分が離れて我慢さえすればと思いながら過ごしていたことを思い出す。
「……悪かったわ……私が悪かったのよ、カイト……」
私は思わず呟く。
彼に何も打ち明けることがないまま私は離れ、彼は命を断ってしまったという。
もしかしたら一緒だったころ彼も、自分なりに私に伝えたいことがあったのかもしれない。それをただ言えなかっただけなのかもしれない。
彼だって、私と同じ人間なのだから……
「カイト……」
あの頃の気持ちを思い出した私は胸が締め付けられたような気分になり、下を向き涙を必死にこらえて震える。
シードはそんな私に優しく語り掛けた。
「……大丈夫、君はきっと悪くない。今までのことで自分を責めないで。君はもう、希望を持って生きられるんだから……本当に、ごめんよ……」
彼の声は震え、悲しみを帯びている。
「なぜ……なぜあんたが、謝るんだ。おかしな人だね」
私は慌てて老婆の振りでそう取り繕い、零れていた涙を拭いた。
「……なおさら君のそばにいてあげたくなってしまったよ。僕はきっとずるい人間なんだね、君を苦しめたのは僕なのに。ああ、君に触れたい。僕を気にしてフードを被っていたいなら、その上からで構わないから。君が嫌ならしない、けれど今だけ許してほしい……」
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