悪女を懲らしめるための男

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「うーん……私は、あんまり……空いてない、かなぁ?」 「あ、じゃあ思いっきり体動かすのは?」   次に指したのは60分遊び放題プランのあるスポーツ施設。学生やファミリー層に大人気の施設だ。男友達となら俺もたまに行くが、まぁ、ヒールを履いてオシャレしてきた女に進める場所ではない。予想通り、ミオの眉間に皺が刻まれ始めた。 「あー……」  明らかに声のトーンが落ちた。  ここだ。俺は「あ、そっか、ごめん、友達のノリで行き過ぎた!すまん!」と慌てて謝り「えーと、えーと」と悩むふりをして、自然に視界に入る位置へと歩んで、目的の看板を今初めて見つけたふりをする。 「そうだ! 映画なんてどう? ここ、フードもそこそこ美味いし、人もそんなに混まないし、当たりの席だったらゆっくりおしゃべりも出来るかも」 「映画館……かぁ」 「だめ?ここチュロスがとくに評判なんだけど……あー……そっか。ごめん、あんまり趣味合わない感じ?かな。それだったら今日はもう解散の方が……」 「あ、私チュロス好き。うん、いいよ。ここにしよう。ここに来るまでに結構歩いちゃって足が疲れているから、休憩に丁度いいかも」  提案したものが全て断られテンションが落ち、帰りたいモードの空気を全面に出した俺に慌てた言葉が返ってくる。全て計画通り。一番連れていきたかった『人がほぼ来ない映画館』に連れ込むことに成功だ。  チュロスが美味しいのは本当。そんなに混まないのも本当。ゆっくりおしゃべりできるのも本当。  ただ、座る席は俺が全て指定するだけ 「折角の出会いの記念に奢らせて。チュロスはプレーンとチョコどっちが好き?」 「チョコがいいな」 「了解。じゃあ、そこのソファに座って待ってて」  
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