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女を泣かせる男の金をむしり取る女(?)
メイクは、ナチュラル。
体系維持は、死ぬ気で整え続けた。
服は、同じ職場の人に「露出はあまりないけど細さがわかる可愛い系のワンピースで上品さを漂わせる感じ」というテーマで選んでもらった。
皆と作った『ミオ』は誰が見ても可愛い。
普通に芸能人デビューとかしてそうなぐらいに美人。
出会い系界隈で噂になり始めていたが、ターゲットはあと一人。どうせこれが最後だから、ここで決めれば『ミオ』は役目を終える。
できれば2人きりになりたいのに見当違いの場所ばかり提案された時は焦ったし、最後の選択も2人きりは難しい場所。だけどそこを断ればこのまま逃がしてしまいそうな雰囲気だから慌てて承諾した。
結果的にそれは吉だった。
どうやら『マホト』の目的は『ミオ』と同じだったようだ。
なら話が早い。
「どうしたんですか?」
完全に逃げ場を封じられても『ミオ』は動じない。涼しい顔で微笑みマスクを取り去る。殊勝なこの笑みにマホトの眉間に訝し気なものが刻まれたが、すぐに不敵な笑みへと変わる。
「さすがに、わかるでしょ。ここに俺ら2時間以上2人きりって言ったら」
さっきまで緊張しておどおどしていた男はどこにもいない。『ミオ』の目の前には女を食い物にしてきた男がいるだけだった。
「そう。私を、どうするの?」
「ああ。それそれ。やっぱ腹黒かった。俺はお前みたいな悪女を成敗する正義」
「ヒ……? 何それ。正義のヒーローごっこかなんか?」
「そう。で、悪役はお前」
「ふぅん。私、悪いことしたんだ?」
「こいつらのこと知ってるだろ」
マホトが『ミオ』に見せてきたのは『ミオ』に惚れて財布のひもを取っ払ってすっからかんになってきた男たちの顔写真。全員げっそりとして血の気のない表情でまるで囚人のような顔ばかりだった。
「こいつらが助けを求めてきたってこと?」
「話が早い様で」
「で、駆け付けてきたヒーローは何をする気で?」
「悪女の腹の内を丸裸にする」
そういってマホトは買ったばかりのチュロスを『ミオ』の鼻先に着きつける。甘い香りと共に、キラリと光る物体が視界に入った。
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