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「……食べたら死にそうなものが入ってるね」
「ああ、大丈夫。これ、食べる用じゃなくて切る用だから」
マホトは不敵な笑みを浮かべたまま『ミオ』の胸元にチュロスを突きつけた。チュロスに埋め込まれたカッターのような刃先が、胸元を隠していたボタンの紐を切り音もなく絨毯の床に落ちた。
「ひとまず、悪者がもう悪いこと出来ないようにさ。丸裸シーンを全国にお届けってのはいかが?」
マホトはにっこりと魅力的な笑みを浮かべる。
状況が状況じゃなければ大抵の女性はコロリと落ちてしまいそうな綺麗な笑顔だ。それに対し、『ミオ』も負けない綺麗な笑みを浮かべた。
「うん、そうだね。じゃあ、お互い腹の内を丸裸にしましょうか?」
さて、ここでミオは終了でいいだろう。
ワタシは着ていた上品なワンピースのスカートをめくりあげて太ももを露わにすると、隠していた手錠を取り出してカシャンっとマホトの手首にかけた。そして、見せびらかすようにつけられている腕時計を覗き込み、口を開いた。
「〇月×日午後2時3分。鈴木正人容疑者、逮捕しました」
そう告げて、ワタシは耳にかかっていたサラサラストレートに仕立て上げていた黒髪をかきあげ黒いイヤホンをマホトに見せつけた。驚きで大きく見開かれる相手の目にニンマリと笑みを広げていれば、マホトは「っくそ!だましたな!」とこちらの手首をチュロスで斬りかかろうとしたので手刀で手首を痺れさせ後ろに捻り上げもう片方の手首にも手錠をきちんとかけた。その衝撃にチュロスやドリンクがふかふかの絨毯の床を汚してしまったが、これは後で同僚たちが綺麗にしてくれるだろう。
「あまりにも計画通りにいったから種明かしをしてあげよう、ハッカーさん」
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