01:キミとの出会い

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「桜川さん、悪いんだけどこれもお願いできる?」 「わかりました。ついでに、明日の会議用の資料もまとめておきます」 「ホント!? ありがとー、助かるわあ!」  時刻は定時。  自分の受け持つ仕事はすでに片付いていたので、帰ろうと思えばいつでもそうできた。  けれど、追加された書類の山によって今日も残業が確定する。  向かいの席の同期は必死にキーボードを叩いているので、恐らくまだ今日の分の仕事と戦っているのだろう。  本来なら自分の仕事ではないのだが、どうせ作業を続けるのならと、余分な仕事も片付けてしまうことにした。 「桜川さんって仕事早いよね。正確だし、安心して任せられるよ」 「ありがとうございます」 「あのさ、もし余裕あったらなんだけど……こっちも頼めないかな? 嫁に今日は早く帰ってこいって言われてて」 「構いませんよ、特に急いで帰る用事もないので」 「マジ!? 助かる~、桜川さんならパパッとできちゃうっしょ。じゃあ頼むな!」  嬉しそうに両手を合わせて私を拝む彼は、つい先日おめでた婚をした先輩だ。
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