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直前まで普通の態度だったというのに、顔を合わせた私は明らかに様子がおかしかったのだろう。
何かがあったのだと察した怜央くんは、リューさんに疑いの目を向けたのだ。
「隠すことでもねえから肯定したが、アイツなんつったと思う?」
「さあ……?」
「たった一言、『そっか』、だと。俺がアンタに何か言っただろうってこと、わかった上で何も責めてこなかったよ」
そう言うリューさんは、とても複雑そうな表情を浮かべている。
「アイツは昔から聞き分けが良くてな。母親の話は?」
「聞きました。中学に入った頃に、亡くなったって」
「そうか。……そっからだな。自分のことは後回しで、ワガママ言うことも無くなっちまった」
(……あれ?)
その言葉に、私はどうしてだか違和感を覚えてしまう。
幼い頃から怜央くんのことを知っているリューさんは、私なんかよりずっと彼について深く理解しているだろう。
そんなリューさんが、はっきりとそう断言したのだ。
どこまでをワガママと呼ぶかなんて、きっと基準は人それぞれだろう。明確なラインなんて存在していない。……だけど。
『着いてっていい?』
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