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『怜央って呼んで』
『マジで似合うって! それ買うよな?』
『コレ着てさ、デート。実際に穿いて歩いてるオネーサン見たいし』
『じゃあモーニングコールして』
『何でオレには連絡くれねえの?』
『オレの方が先に着いて待ってたかったの!』
『凛さんの中にある気持ちも全部、オレにだけ向いてりゃいいのにって思ってる』
どうして私の中には、怜央くんの向けてくれたワガママばかりが蘇るのだろう?
「保護者やってる俺の気持ちも理解した上で、自分の気持ちだけ押し通すっつーことができなかったんだろうな。まだ半人前のガキのくせによ」
リューさんが背凭れに体重を預けると、ソファーの軋む音がする。天井を見上げるリューさんは、大きく溜め息を吐き出した。
「アンタの言う通りだよ。アイツは、俺が思うよりずっと立派に成長してやがった」
「リューさん……」
「二人揃ってクソ真面目で、自分の気持ちは後回し。もうちょい感情的に動かねえと、反対し甲斐がねえだろうが」
ガシガシと頭を掻きながらスマホを取り出したリューさんは、何やら画面を操作してからそれをテーブルの上に放る。
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