36:キミのワガママ

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『怜央って呼んで』 『マジで似合うって! それ買うよな?』 『コレ着てさ、デート。実際に穿いて歩いてるオネーサン見たいし』 『じゃあモーニングコールして』 『何でオレには連絡くれねえの?』 『オレの方が先に着いて待ってたかったの!』 『凛さんの中にある気持ちも全部、オレにだけ向いてりゃいいのにって思ってる』  どうして私の中には、怜央くんの向けてくれたワガママばかりが蘇るのだろう? 「保護者やってる俺の気持ちも理解した上で、自分の気持ちだけ押し通すっつーことができなかったんだろうな。まだ半人前のガキのくせによ」  リューさんが背凭れに体重を預けると、ソファーの軋む音がする。天井を見上げるリューさんは、大きく溜め息を吐き出した。 「アンタの言う通りだよ。アイツは、俺が思うよりずっと立派に成長してやがった」 「リューさん……」 「二人揃ってクソ真面目で、自分の気持ちは後回し。もうちょい感情的に動かねえと、反対し甲斐がねえだろうが」  ガシガシと頭を掻きながらスマホを取り出したリューさんは、何やら画面を操作してからそれをテーブルの上に放る。
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