最後の

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「ちゃんと自宅に設定した?」 確認するも自宅になっている。 それなのに同じ道に戻ってくるなんて事があるのだろうか。 『約200m先、〇〇の信号を右』 「え?」 思わずそう漏らすも無理は無い。 だって、そこを右に曲がったら。 「また病院戻ってきたやん。」 さっきいた病院なのだから。 その時だ。 母の携帯が鳴り響く。 「もしもし。……え。うん。すぐ戻る。」 相手は叔母で。 叔父が急変し、もう危篤状況と。 病院に入り、しばらくして叔父は亡くなった。 ナビがおかしかったのは、もしかしたら父が知らせてくれていたのかもしれない。 叔父の死を。 きっと、最後の知らせだったのだ。 その証拠に、その後の帰りのナビは正常だったのだから。 [完]
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