絶望ゲーム

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 目覚めたら知らない部屋にいた。  四角く、天井も壁も床も赤塗りの部屋だ。壁には一つだけ扉があった。  俺の横では会社の後輩である佐々木が、床に大の字になり眠っていた。  ここはどこだ? 俺たちの身に何が起きた?  目覚めたら知らない場所にいるという状況は映画などの作品でよく見かけるが、良い状況だったり、良い結果になる作品を俺は知らなかった。  これはなにか、犯罪に巻き込まれたのではないか? 警察……いや、家族でも誰でもいい。とにかく誰かに電話をしよう。そう思いズボンのポケットに手を入れた。が、ない。携帯電話が、ない。  いよいよまずい状況だと直感した。  これは所謂デスゲーム……生き残りを賭けた殺し合いのゲームが始まるのではないか……。  自分の妄想力に苦笑したが、まだ分からない。妄想かもしれないし、本当にデスゲームなのかもしれない。しかし、デスゲームだなんて、そんな巫山戯たことがこの平和な日本にあるのか? あるわけないだろう。冷静になれ、俺。  そんなことを考えていると、横から「んん……」と声がした。部下の佐々木が目覚めたのだとすぐに分かった。  佐々木は目を覚ますと、辺りをきょろきょろと見回し、「あれ、先輩。どこですか、ここ」と言った。  佐々木は仕事でもミスがあるとすぐパニックに陥る。そういった佐々木の性質を考慮して、俺はなるべく不安にさせないよう、何気ないふうを装ってこう言った。 「佐々木、お前携帯持ってるか?」
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