絶望ゲーム

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 俺はスピーカーに向かって「お前は誰だ」と叫んだ。「何故こんなことをする」 「質問は受け付けません。では早速、お二人は椅子にお座り下さい。そして、置いてある帽子を被ってください」 「先輩、どうします?」  佐々木は不思議なほどに冷静だった。そこで俺は思い至った。これはドッキリではないか。こんな状況に俺を誘導できるのは、一緒に酒を飲んでいた佐々木しかいない。俺は内心、白け始めていた。なんだ、馬鹿馬鹿しい。こんな大掛かりなドッキリ、やめろよ。俺はもはやドッキリだと思い込んで、スピーカーの音声に従うことにした。これで満足か、と言わんばかりに佐々木を見て、「従うしかないんじゃないか」と言った。 「そうですね、さすが先輩」  なにがさすがだ。なんだその態度。自らドッキリと言っているようなものだろ。俺を試すなよ。  俺と佐々木は向かい合った椅子に座り、ヘルメットのような帽子を被った。よく分からない線に繋がったそれは思ったより軽かった。  またしてもスピーカーが話しだした。 「本日お二人方に行ってもらうのは、絶望ゲームというものです。ルールは簡単。言葉を用いて、相手を絶望させてください。相手と言うのは大田さんからみた佐々木さん、佐々木さんからみた大田さんです。相手を絶望させる言葉に制限はありません。感じた絶望は付属の帽子が感知し、絶望レベルは測定器に反映されます。先に一定以上の絶望値を示したほうの負けです。一分後にスタートします」
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