絶望ゲーム

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「これ、先に絶望したらどうなるんですか?」  佐々木がスピーカーのほうを向き、何故か敬語で聞いた。しかし、何十秒待ってもスピーカーから返事はこず、代わりに「三……二……一……スタートです」という声がした。  俺はいい加減、仕掛け人である佐々木の芝居にイライラしていた。そのイライラという火に、油を注ぐように佐々木は言った。 「バーカ」  それはあきらかに俺に向けて言った言葉だった。  いい加減キレてもいいだろう。  俺はヘルメットのようなものを取り、佐々木に歩み寄り胸ぐらを掴んだ。  そのとき――。  ゴゴゴゴ……。  地震のような音。  スピーカーからかと思い天井を見上げると、なんと天井が降りてきていた。映画とかでよく見るあれだ。 「なんなんだよ! おい佐々木、どこかにカメラあんのか? 止めろ! 止めろ馬鹿!」俺は叫んだ。  佐々木はきょとんとして、「先輩、何言ってるんですか」と言った。その間も天井はゆっくり降りてきていた。俺は最初にいた赤い部屋に避難した。しかし、赤い部屋の天井も降りてきていた。   ふざけやざって。こんなもの、冗談じゃ済まされないぞ。  そしてスピーカーは「椅子に座って帽子を被ってください……椅子に座って帽子を被ってください……」と、言っていた。
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