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もう限界だった。どうせこの天井だって、俺が本当に潰れそうになれば止まるに決まっている。
俺は「潰せるもんなら潰してみろ。この企画を考えた奴、ただじゃおかないからな」とスピーカーに向けて言った。
天井がすぐ頭の上まで迫ってきた。
佐々木は「先輩、はやく座ってくださいよ」と、やはり余裕だ。
これはドッキリで、本当に潰れることはないので余裕をこいているのだろう。
降りてきた天井が頭にぴったりと付いた。
その瞬間。
頭の上に物凄い重さが加わり、首の骨が砕けるかと思った。咄嗟に中腰になり、両手を上げ天井を支えた。しかし、天井はお構いなしに降りてくる。
「先輩、はやく!」
俺は諦めて椅子に座り、帽子を頭に被った。
そして、これはもしかしたらドッキリではないかもしれないと思い始めた。すると、天井が止まった。俺は止まった天井に安堵したと同時に、ドッキリではない可能性を考えて絶望した。ドッキリではないとすると、これはやはり――。
そう考えた瞬間、目の前の機械が動いた。機械には車のメーターパネルのようなものがついていて、その針が左から右に寄っていた。
測定器……。さきほどの機械音声の説明を思い出した。本当にその機械は、俺が絶望するに従って針が動いていた。そして、その針はメーターを振り切りそうになっていた。
完全に絶望したらどうなるのか? 殺されるのか? それの説明を聞いていないことに気づいた。 殺すという決定的な一言がなかったことにより、俺は少し安堵した。するとメーターが左に戻っていった……。
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