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「そうなの?じゃぁメモだけ渡しておくよ。そしたら交換じゃなくて押し付けられましたって言えるでしょ?」
デスクの引き出しからメモ帳をだして電話番号とプライベートのメールアドレスを書き記した。
美玲に差し出すと改まってお辞儀をしつつ、鞄を下ろして手帳を出し大事にしまっていた。美玲が立ち上がり帰りそうになる。
「これも、やっぱりつけておいてよ」
繋ぎ止めておくために、返却されたネックレスをまた美玲につけた。これがあれば、君は僕とまたあってくれるらしい。それならまだまだ美玲に持っていてほしい。
「……そしたら、いつ返せばいいの?」
美玲は、申し訳無さそうに僕に伺った。
「次会うときまで貸しておくよ」
「わかった」
美玲は頷き、手を降って僕の部屋から出ていった。
美玲がいた余韻が僕の部屋を包んでいた。握られた手は温もりも、抱きとめたときに触れた体の柔らかさも残っていて消えない。
メールが来たら、僕は飛び跳ねて喜べる気がする。
一緒にいるだけで心が高鳴って、気持ちが一瞬で満たされてしまった。
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