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そう言って、僕の手に強引に置いて握らせてきた。そして、ソファから立ち上がりリュックを背負い出す。
「あと、キャンセルなのでお金はいらないです。昨日キャンセルになったってことにしておくね。あたしが間違えて来ちゃったことにするから。」
リュックを持ち上げて背負おうとすると、レオンくんが声をかけてきた。帰らないで……とは言えず、僕は腰を浮かせる。
「ミレイ、友人になってよ」
思わずそう提案すると、美玲はキョトンとした顔をしていた。
「え?」
「………駄目かな?」
「ううん………え、いいの?」
少し綻んだ表情をしている。
「もちろん」
「こちらこそ、友達になってください」
そう言って美玲らしい弾ける笑顔を見せてくれた。君の笑顔は全く変わらないね。
「うん、もちろん。だからピアノ弾きに来ていいし、今度お菓子つくったら呼ぶね」
そういって僕はスマホを出した。
「ありがとう、あ……でも仕事中だか連絡先は交換できないんだ」
そうだ、ルールはしっかり守る真面目なタイプだった。言われたこと、教えられたことは律儀に守るところがあるんだよな。
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