1-1 不健康そうな男子

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1-1 不健康そうな男子

①伊藤拓磨 23歳 別れがあれば新しい出会いも同じだけある。 オレの職場は、 皆さん知っての通り人の出入りが激しい世界。 数年勤務するものもいれば、 たった1日しか来ない人もいる。 拓磨もまた新しく出会った1人。 どんな理由で、 どんな過去があって、 今の拓磨が存在するかなんて知らない。 見た目は俺より5センチくらい高い身長、 艶のある長めの黒髪に、 いかにも不健康そうな痩せ型、 陽にあたってない肌の白さ、  どんよりした目つき、 あまり女性受けはしないだろうと見抜いた。 愛想もなく孤独なオーラがある。 職務上、 オレはどんな奴にも分け隔てはしない主義だ。 同僚の中の多くは、 ただただ嫌われたくないのか、 好印象にしたいのか、 波風立てないようによくわからない偽善的な対応をする人もあるが、 オレはちゃんと叱る時は厳しく、 成果や成長に対してはしっかり褒めるタイプ。 拓磨は確かにミスが多く、 決して主体的に仕事をする感じではなかった。 その度オレは指導しながら、 いいところも少しオーバー気味に褒めてやる気を引き出すようにして、 それに応えながら拓磨も取り組んでいた。 休憩の喫煙所やトイレなどで会った時も声をかけるがあんまり積極的ではない。 それでもオレは変わらず声をかけ続けた。 それは…オレが好きな体つきだったから…。 とある日、 トイレで並んだ時だった。 オレは横の拓磨が用を足す場面を見た。 眠そうにしながら何の躊躇いもなく、 放出しているモノが目に入った。 痩せた体に不釣り合いな重量感、 でも先まで包まれたモノを握り、 気怠そうに用を足している。 オレも仲間だから、 用を足す時はちゃんと先端を露わにしてからするが、 拓磨は違った。 すかさず声をかけてた。 周りには誰もいない。 「ちゃんと、剥かないと臭くなるぞ?」
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