2-2 初めての感覚

1/1
17人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

2-2 初めての感覚

恐らく寝言。 寝言じゃなかったらいいんだけど。 まぁそんなわけないし、 起こさないようにそのままの状態を維持する。 その寝顔は、 ホントに子供みたいで、 ニヤニヤしながら口をモゴモゴさせたりしてる。 それがたまらなく愛おしくなった俺は、 気付かれないように軽くキスをした。 さっきまで食べてた甘いチョコレートの香りが、 逆に悪い事をしている気がにさせる。 キスは一回だけにした。 それから30分くらい経っただろうか。 「僕、寝ちゃいました」 「いいよ」 「フワフワして気持ちよくて」 「いっぱい食べたしな」 「膝枕が」 「へぇ〜」 「キスも」 「はい??」 「キスも!」 膝枕になりながら俺を見る。 俺は目を合わせられない。 「あ…ごめん」 「何であやまるの?」 「寝てると思って」 「わからないと思った?」 「まぁな」 「ちょっと間違ったら…ヤバい事だよ」 「ごめんなさい」 「僕以外ならね」 「えっ?」 イタズラっぽい目で見てる。 「じゃあもう一回していい?」 ウッチーは目を閉じた。 俺はおでこに軽くした。 すると起き上がって俺の顔をじっと見て、 唇にキスしてきた。 俺はそのまま抱きしめた。 あぐらをかいている俺の上にまたがり、 肩のあたりに顔を埋め、 俺は背中にしっかり手を回してキツく力を入れた。 小さい体なのに固い肉感。 筋肉はあまりない。 かといって脂肪もない。 その質感が絶妙な抱き心地だ。 それを感じるだけで満たされていくのがはっきりわかる。 でも俺の本能部分はあからさまに、 わかりやすく反応してしまう。 もちろん俺だけじゃない。 お互いにその硬直を着衣越しに感じながらそれには触れない。 「何て呼んだらいい?」 「駿介」 「駿介…俺、我慢してた」 「光輝くんって呼んでいい?」 「ここだけな」 「わかってる」 駿介は再び俺にキスをせがんだ。 俺は濃厚なキスは避けようと、 唇を固く閉じたままだった。 それをこじ開けようと、 舌の先で軽く俺の唇を開いていく。 「光輝くん、キス嫌い?」 「…好き!笑」 「じゃあ、ちゃんとして」 「駿介…」 座位の体勢のまま、 駿介は俺の首に手を回し、 俺は駿介の腰に手を回し、 時間を忘れてキスをしていた。 何も言わなかった。 お互いが満足するまでひたすらに無言で奪い合う。 「光輝くん、一緒に寝たい」 既に12時は過ぎている。 「シャワー浴びるか?」 「ううん、このまま」 「臭くない?」 「光輝くんの匂い…好きだよ」 ヤバい一言だった。 鷲掴みにされた。 それをグッと堪えた。 「寝ようか」 「うん」 Tシャツとパンツでベッドに入る。 駿介は俺の胸元に顔を埋めて、 身体を巻き付けて離れない。 俺はそんな駿介の髪をゆっくり撫でながら眠りにつくのを待った。 あっと言う間に、 駿介は寝息を立てる。 その顔はまるで遊び疲れた子供のように純粋な寝顔。 もう一度額にキスをして俺も眠った。 何か気配を感じて目を覚ますと、 朝だった。 隣で寝ていた駿介は居なかった。 寝起きでまだ頭が回っていない。 ふと足元を見ると、 駿介は俺の股間をパンツ越しにツンツンしていた。 「おはよ」 「光輝くん、おはよ」 「何してた〜?」 「ピクピクしてるの見てた!笑」 「中身は見た?笑」 「怖くて見れない〜」 駿介は既に帰る準備を済ませていた。 「じゃあ帰ります」 「おぅ」 「また会社で」 「おぅ」 背を向けて玄関の扉を開ける駿介は、 いきなり振り返り言った。 「また来ていい?」 「もちろん」 複雑な感情が漂っていた。 キスをして一緒に寝て、 それ以上はなかった。 何故かお互いに求めなかった。 今までのオトコたちとは違う感情に俺は気づき始めていたが、 それを理解するまでにはまだ時間がかかりそうだった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!