3-2 一夜限りの愛を込めて

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3-2 一夜限りの愛を込めて

「うん」 路地裏をさらに奥へ進み、 人目も引かない鄙びた安ホテルに入った。 薄暗く清潔感もない通路を歩きながら、 俺はあの時のような扱いではなく、 涼に一夜限りの愛情を注ごうと決めた。 2人で風呂に入る。 涼の髪を洗い、 体を洗い、 髪を乾かし、 体を拭いてあげた。 まるで子供を扱うかのように至れり尽せり。 涼はされるがままに素直に俺に身を委ねる。 「涼、本当にいいの?」 黙ってうなづいた。 俺は強引なやり方はしないと決めた。 あのエキゾチックな目を見つめ、 少し厚めのピンク色の唇にそっとキスをした。 唇で唇を挟むように。 決して舌を入れたりはしなかった。 耳、首筋、ゆっくり胸元へと舌を這わせ、 乳首を転がす。 「はぁ、はぁ」 吐息を漏らし続け、 身体をくねらせる。 腋に鼻をつけ、 深く息を吸うと、 あの時嗅いだ独特な俺を興奮させる匂いがする。 一転、激しい舌づかいで攻める。 「あんっ!あっ!そんな…」 「いい匂いしてる」 耳元で囁いた。 「恥ずかしい…」 「ヤバい匂いしてるぞ…ほらこんなんなってる」 俺はガチガチになったモノを握らせた。 「すごい…」 涼はそれを柔らかく摩り続ける。 その手を一度離させて、 再び涼の体に舌を這わす。 背中、臀部、鼠径部、膝や足首まで。 涼は声も出せず、 吐息と体をくねらせながら反応する。 「俺も舐めたい…」 懇願する涼の胸元に跨り、 モノを突き出した。 「ペチペチして下さい…」 鼻から頬、唇にペチペチと音を立てて当てる。 「あん…これして欲しかった」 「ペロペロはしてくれないの?」 「します」 前回は嫌がっていたのに、 今は自分から欲しがっている。 ぎごちなく口に含んで、 上下に動かす。 「もっと奥に入れていいか?」 「…」 お願いするような目をして頷く。 俺は握ったモノをゆっくり喉奥へと押し込んだ。 「ゔ…ぅ…」 押し込まれて悶絶してる顔を見ながら、 涼のモノを触るとガチガチに硬直してる。 乱暴なやり方ではなく、 俺は涼の口に抜き差しを繰り返した。 嗚咽をあげながらも涼の硬直は収まらない。 「舐め合いするか?」 「うん」 体勢を入れ替え、 俺は下になり、 互いのモノを味わい尽くす。 俺は涼の膨らみから穴に向かって愛撫を始めると、 力が抜けたように俺の太ももにしがみついた。 「ここ感じるのか?」 「力抜けちゃう」 俺はあの時を悔やみながら、 そしてその罪を少しでも償えるように涼を優しく愛撫しつづけた。 か細く低めの声で喘いでいる。 頃合いを見て四つん這いにさせ、 パンパンに張った臀部を堪能しながら、 その隙間へ一本一本ゆっくりと念入りに繋がる準備を済ませた。 もう一度だけ確認した。 「嫌じゃないのか?」 「欲しいです…挿れて…」 初めて俺に開発され、 他の人も受け入れてきた穴に、 再びゆっくりと挿入した。 あの時のように、 後ろ向きじゃなくしっかりと互いに結合が見えるように。 ジリジリと奥に向かっている最中、 涼は俺を見ながら微笑んでいた。 俺もそんな涼を見て、 ゆっくり結合を完了させると、 時に激しく、 時に優しく、 涼が求めている事に応えていった。 後ろからはしなかった。 今日は違う。 涼の感じる顔を、 感じる声を、 体の紅潮を受け止めながら一つになりたいと思った。 身体を密着させ、 唇を重ねながら出し入れを続ける。 「涼?」 「うん…?」 「気持ちいいか?」 「うん、出ちゃいそうなの我慢してる」 「まだいくなよ?」 涼の先端から透明なものが流れ出ているのを指で絡め取り、 それを見せながら舐める。 「感じてる証拠だな」 「ホントに…もう出ちゃう…」 俺は涼を抱き起こし、 座位の体勢にした。 「気持ち良かったらこのままイッて」 キスをしながら、 腰は動かさず、 涼のモノを扱いた。 唇を塞いでいるから言葉には出せない。 「んん〜、んんんん…」 「んん?」 涼は俺の目を見て頷いた。 再びゆっくり腰を動かして、 扱く速度を速めた。 目が虚になっていくのを確認して、 唇を離した。 「イッちゃいます!」 俺の臍からみぞおちのあたりに熱い感覚があった。 座位のまま俺にもたれかかる涼の髪を撫でて、 「ごめんな…」 「今日は…すごい良かったです」 「あの時の事は…忘れてくれ」 「はい…」 「いい子だ」 俺は最後までしなかった。 今日はせめてもの罪滅ぼしに涼を抱いたから。 だからできる限りの優しさを演出したつもり。 ただ正直言えば、 涼にはあの時みたいな若干強引なシチュエーションじゃないと、 最後まで達しなかったのが事実。 何だかんだで下衆な男だ。
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