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桜、桜、桜、と考えているうちに、段々と頭の中がじんじん熱くなってきて、そのうち湯気が出るんじゃないかと思う程に、頭はパンクしそうでした。
僕は、コンテストを諦めました。
たくさんの桜の光景を思い描いたのだけど、納得のいく小説が書けず、僕は書くことのできない自分に自己嫌悪しそうでした。
小説を書くことは好きです。
でも今回は諦めました。
自己嫌悪になって小説を書くことが嫌いになってしまうのを恐れたからです。
今は、頭がパンクしそうになるほど思い描いた桜が嫌いです。
頭の中を空っぽにして、『桜』というテーマを忘れたいと思っています。
けれど。
「ただいまー。お土産買ってきたよー」
と、帰宅した母が僕に渡してきたのは、桜の花がちょこんと乗った桜餅でした。
僕は今、忘れたいぐらいに桜が嫌いです。
でも、封を開けた桜餅はとてもいい匂いがしました。
あー早く、満開の桜が見たいな……
と、思ってしまったのは、桜餅のせいです。
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