東京 5年目の職場

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 台所で片付けをやっていた壱がリビングにきて、 「風呂早いなぁ…成、風呂貯めないでシャワーだけか、俺もそうしようかな」  僕がソファで髪をタオルで拭いていたら、壱が言いながら服を脱ぎ始めた。 「風呂場で脱げよ」 僕が言うと 「はい、はい」 と、壱は笑いながら風呂場に行った。  だいぶくたびれたソファだがお気に入りで、岐阜のアパートで使っていたのをまだ使っている。2人で暮らしていた東京のアパートにあった同じソファは壱が処分してくれた。  壱には、この家に住み始めた頃には新しいの買おうぜと何度も言われたが、最近は全く言われなくなった。  なぜだろう?と、思ったがどうでもいいやと思い直した。  テーブルの上の壱の携帯がピロロとなってた。  ロックがかかっているから中は見えないが表示に圭さんからの連絡アプリが現れた。  圭さんは、岐阜で僕がお世話になった早先生のパートナーだ。
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