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東京 5年目の職場
いつもの事ながら家に灯りがついているとホッとする。
アパート暮らしの時は思わなかった感情に年をとったかなと思いながら、
「ただ今」
と、言い僕が玄関を開けて靴を脱ぎかけていると、
「おかえり」
と、壱が玄関に走って来て
「成、聞いてくれ。宝の奴に、またやられた」
と、壱は僕の帰りを待ち侘びていたようで、勢い勇んで言ってきた。
僕は、壱の目を見て一瞬どうでも良いと思ったが、
「どうした?」
口先では、労わるような口調の言葉が出て
我ながら上出来だと頭の片隅をよぎった。
僕の反応に満足気に、壱は苦笑いをしてきた。いつ見ても良い男だなと、全く関係ない事を考えてしまった。
僕、一井成とパートナーの会川 壱は、幼馴染で共に33歳、同じ医院で勤めている。
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