闇の中のナルシスト

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 某コンサルティング会社代表を務める夫が業務上横領容疑で逮捕されても取材班の前でセレブを装おうと高級ブランド品で身を固め敢えてマスクを外して笑顔を見せるルリ子。何でも太陽光発電事業に際し取引先から預かった10億円の内4億2千万円を債務弁済に充てたとのことで所謂自転車操業をする夫の会社の苦しい経営事情が明らかになり夫の収入がなくなる上、夫に嫌疑がかかってからテレビに出れなくなって本人も大幅に収入が減っているのだから余裕をかましている場合じゃないが、早い話が頗る虚栄心が強いのだ。その証拠にインスタグラムやツイッターのブログを利用して六本木ヒルズの高級マンションや軽井沢の別荘や海上のクルーザーやファーストクラスの旅行先でのリッチな生活を自慢し、週刊誌に素っ破ぬかれようが夫の嫉妬を買おうが小学生の息子がいようが懲りずに取っ替え引っ替え男性とデートしてもてる女をアピールするし、安倍の国葬の時も世間の話題を攫おうと胸元が透けるような喪服とは言い難い高級ブランド品のセクシーな衣装で参列したのだ。  お嬢様育ちで東大出身でエリート意識が高いし、御用学者として自民党に重宝され内閣成長戦略会議のメンバーだから何をコメントしても政府に忖度する立場の者たちから暗黙の了解で何も批判されない権力側の強い立場にあるし、テレビ局のおじさん連中に媚びを売ってレギュラー番組を獲得するだけの美貌の持ち主でオヤジ殺しの異名を持つくらいだから相当思い上がっていて筋金入りの自惚れ屋なのである。  ルリ子は夫の仕事とは無関係と言いながら夫のコロナ給付金不正受給(疑惑)に当たって入れ知恵したらしく受給条件に合うよう、「売り上げなんて数ヶ月ずらして操作すればいい。馬鹿正直に計上しなくたっていい」と言い、「政府なんてばらまいてなんぼでしょ。国が金を只でくれるんだから貰いにいかない手はない」と言うとんでもない女なのだ。何せGDPの計算方式を水増し方式に変更したり森友問題に於いて公文書改竄を命じたり国会の答弁で118回嘘をついたり政府にとって都合の悪い情報を漏らさないよう秘密保護法を制定したり言論の自由、表現の自由を弾圧するべく放送法の解釈を変更しようとしたり政府を批判出来ないよう批判力のあるキャスターを番組から降板させたり広島買収事件で提供した政党助成金1億5千万の内半分を持ち去ったりした安部を生前、後ろ盾にして安倍色に染まり、すっかり悪に手を染めているのだから然もありなん。故にざっくばらんに言って夫婦揃って尾籠なやり口で金儲けする上、不倫して子供にも多大な悪影響を与えているのにベストマザー賞を獲ったこともあってか世間一般の判断基準や見識を疑い、そこまでは良いのだが、世の中を完全に嘗めている嫌いがあり取材に応じた時、引き続き捜査に全面的に協力する所存ですとした上で家族として夫を支えながら推移を見守りたいですとこんな綺麗事をしゃあしゃあと言えるのだ。  こういう女だから夫が逮捕されたのを幸いにして鬼のいぬ間に洗濯とばかりに浮気を重ねるし、高慢で了見が悪い意味で半端なく俗世間からずれているから、桜なんて貧乏くさくて嫌い、だって花見って只でしょ、そんな所以から一般庶民みたいに花見しながらお酒を飲む気になんてとてもなれないわ、どうせなら私はこうして百万ドルの夜景を俯瞰しながらあなたと飲むのが好きと六本木ヒルズの高級ホテルラウンジでワイングラス片手に豪語するのだ。そして一杯機嫌も相まって自己陶酔するのだ。  この女には昼よりも夜、光よりも闇がよく似合う。闇に包まれた栄光。闇に輝く冷笑。闇の中のナルシスト。闇から闇へ葬られる危険性のある女。
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