雨が止んだら

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「雨が止んだらどっか行けばいいよ。何だっけ、滝?」 「滝だけど……行けたらでいい。土砂で危険ですって言われるかも知れないし」 「そんな山奥にあるの?」 「後で調べるよ。あんまり期待しない」 行き先まで僕の希望を聞いてくれたのに、雨なんて気の毒な銀ちゃん。 そんな銀ちゃんは浴槽の中の一段高くなった部分に座り、僕はその脚の間に入った。底に座って、まだ筋肉が衰えきっていない胸とお腹に背中を預ける。肌がぴったりと触れ合うのは少し久しぶりで、非日常的な空間もあって、急にドキドキしてきた。 「あんまりくっ付いてると、ほら……」 言えずに手を動かすと、すぐに銀ちゃんは察したらしい。 「いいよ、別に。気にしないよ。男同士なのに何いまさら」 「いや……僕が気にするから」 「氷治は若いもん、元気な証拠」 「若くないよ。10代の頃の方がもっと……何でこんな話。違うって、もう」 意味をなさない言葉を話しながら、離れようとした。若いと言うより、自制が利かない部分だから、どうしようもない。 ふと、銀ちゃんが真面目なトーンになる。 「けど、そうなってくれるのは嬉しいよ、俺は。こんなおじさんにも……反応してくれてるって事でしょ」 珍しくこんな話題になったから、 「おじさんとか関係ないから。銀ちゃんだからこうなるの」 と返した。 汗が出てきて、顔やこめかみを伝い始める。いい大人だし、誰かにドキドキなんてもうしないはずだった。 でも、 「困るなぁ」 言葉ではそう言いながら、嬉しそうに銀ちゃんが手を伸ばしてくるのを待っていた。 触れるか触れないか、ギリギリの所を動く。お湯の流れる感触だけが来て、下の毛が揺らされる。ぶわわっと、意識と一緒に血が集まっていく。腰の周りや腿の内側がもぞもぞする。黒い毛の中から、暗めの肌色がその範囲を広げるのが、外からの光を反射する水面越しに見える。
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