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何をむ悩ことがあろう、何を苦しむことがあろう。 お聞き、哀しき者よ。 いつの世にもお前と同じ様な若者がいた。毎夜海辺に来てはその者は私に問うた。 教えてくれ、海よ。人生の意義を。与えてくれ、生き甲斐を。 俺は絶望し、傷つきながらもひたすら生きて来た。 真理を得んがために! ああ、だが人は死なねばならぬ。生とは何だ?死とは?人間とは? 神は存在するのか?海よ! 哀しき者よ、私は 寄せては返し、寄せては返す。寄せては返し、寄せては返す。 未来永劫、同じ業を繰り返すのだ。 むかし同じことを問うた若者も、生きて、老いて、今は私の中にいる。 この波の音にその者の声が聞こえないか? 今のお前の声と重ならないか?… さばかりの戯れ事、痴れ事と、波の音に聞くまでは、 尽きぬ迷いに流離うがいい。 所詮お前も大海の一滴、私はお前、お前は私なのだ。 哀しき者よ、私は 寄せては返し、寄せては返す。寄せては返し、寄せては返す。                【夜の浜辺にて】7d63ac9c-a238-4cb6-8b2c-a5521e97af3a
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