33人が本棚に入れています
本棚に追加
父・静雄の仕出かしてきた行為とは違った形であっても、結果はおんなじなんじゃないか。
自分を責め、止まらない涙を拭いながらもう一度千秋からのメールを読み返す。「きっときっと、幸せになります。栗原千秋」千秋の署名に涙が落ちる。その雫を拭う時、画面がスクロールされて、まだ下にも文章が書いてあることに気が付いた。
「あっ、まだ何か書いてある・・」
署名の下、改行が4回ほど繰り返されてから文字があるのが見えた。
「責任を感じたりしないでよ。安藤君真面目だから」
クマの顔がニコニコと動く絵文字で終わるその文章に、祐輔の涙は壊れた水道の様に流れ続けた。
自分と同じように血に対する不安を抱いていた千秋。その事はひた隠して俺の心配ばかりしてくれて。
もしもあの時、千秋も打ち明けてくれていたら・・もしかしたら彼女の人生も、俺の人生も、今とはまったく違っていたかもしれない、いや違っていたはずだ。
「千秋・・おまえの分まで血を打破してやるからな。幸せになるよ、俺・・」
今度こそ、自分の手で愛する女性を幸せにしてみせる。
血なんか関係ない、親と同じ道なんか歩くもんか。人間はみんな違うんだ。俺は俺、なんだ・・
最初のコメントを投稿しよう!