君が振られたあの春

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君が振られたあの春

「おっ、見て見て!なんかつぼみが出来はじめてるよ!」 僕がはしゃぐと、運転席の晴夫くんもチラッと外に目をやり、 「ほんとだ!かわいいね」 と微笑んだ。 「そういえば、優介くんも来年就職だけど、進路ちゃんと考えてんの?」 またまた、君は僕の親父か。 「まあそこそこね。」 適当に返事をすると、「またそんなこと言ってー」とか、「今のうちからしっかりしないと後で困るんだよ?」とかをしつこく言ってくる。そんなことより、だよ。 「そんなことより、来週式挙げるんでしょ?僕とドライブなんてしてる場合?まったく、お嫁さんが可哀想だわ」 「なんだよーそれ~」 と言いながら嬉しそうな顔をしちゃって。 君が振られたあの春も、僕は君が好きだった。多分、今も。 でも、自分の気持ちと現実に、ちゃんと向き合おうと思う。 大丈夫、桜は毎年咲くんだから。                   完
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