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いつもとは違う休日
百合園皐月は、ダイニングキッチンからトーストとトマトスープをテーブルに運ぶ。皐月という清純な名前でも、その実態は背の高い男子大学生だ。
イスに座った皐月の正面には、すでに西園寺瑠璃が座っている。漆黒の長い髪を耳にかけ、頬づえをつき、リビングの奥にあるテレビを見つめていた。
「食べよう、瑠璃ちゃん」
瑠璃は皐月に視線を向け、初めて朝食の存在に気づく。
「ああ、ありがとう。いただきます」
トーストを手に取り、テレビに顔を向けながらかじった。
今日も朝から瑠璃はキレイだ。皐月の容姿とは全く異なるからこそ、皐月には輝かしく見える。
ぱっちりとした二重の目で、ハーフに間違われるほどの華やかな顔。対して、皐月は一重で切れ長の薄い顔立ちだ。
さっきから熱い眼差しで瑠璃を見つめているというのに、瑠璃は皐月と一切目を合わそうとしなかった。皐月は瑠璃が向けている視線の先を追う。
テレビは今、日曜日の朝らしいエンタメ番組が流れていた。女性のファッションについて特集され、アパレルブランドの商品が紹介されている。
肩の開いたトップスに、ハイウエストのジーンズ、タイトなミニスカート――。どれもこれも、細身のギャルモデルが着ていそうなアイテムだ。
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